日本のバスフェア(1)
2022年06月16日

トミカ日本のバスフェア01
トミカ日本のバスフェア08

1980年6月初旬、「トミカ日本のバスフェア」が開催されました。
これは全国各地の玩具店や百貨店の店頭で行われるもので、通常にはないトミカを特別販売するというものでした。
トミカ79 三菱ふそうワンマンバスを、各地で実際に走っているバスと同じカラーリングで発売するという企画で、北は北海道から南は九州まで、12の事業者がセレクトされていました。
箱は通常品と同じ黒箱で、当時の定価は280円でした。
今回はその1回目として、6台のトミカをご紹介したいと思います。


トミカ日本のバスフェア02

●北海道中央バス

北海道中央バスは主に北海道の道央圏でバスを運行する事業者です。
トミカは1954年に採用された通称「赤白カラー」の再現で、ボディサイドはタンポ仕上げで、前面とルーフサイドの「CHUO BUS」は添付シールを貼って仕上げるようになっていました。
バスの前面部は「北」の漢字をデザイン化したものです。
この赤白カラーは1992年に創立50周年にあたってデザインが一新され、順次更新されるまで長きに渡って使われました。


トミカ日本のバスフェア03

●宮城交通

1970(昭和45)年に宮城県内3社(宮城バス・宮城中央バス・仙南交通)が合併して誕生した宮城交通の
合併当初に採用されたカラーを再現したものと思われます。
ボディサイドはタンポ仕上げで、フロントとルーフ前端は添付シールを貼って仕上げるようになっていました。
このカラーは1980年に新塗色が登場したのにに伴って、順次廃止されたようです。


トミカ日本のバスフェア04

●京浜急行バス

京浜急行バスは京浜急行電鉄の完全子会社で、2003年に同社のバス事業部門を分離して設立されました。東京都南東部から神奈川県東部の三浦半島までの広範囲ををカバーしています。
トミカの発売当時は京浜急行電鉄のバス事業部でしたが、現在まで続く路線バスの一般カラーを再現したものとなっていました。銀/ブルーのツートンカラーは塗装仕上げ、フロントとサイドの赤ラインは添付シールを貼って仕上げるようになっていました。
実車は車体下部のブルーの部分の中央部にも銀色のラインが入るのですが、トミカはこれが省略されています。


トミカ日本のバスフェア05

●江ノ電バス

江ノ電バスは神奈川県のバス事業者で、トミカの発売当時は江の島電鉄が直営していましたが、1998年に江の電バス株式会社を設立して、江の島電鉄の完全子会社となっています。
トミカのデザインは、どうやら当時の貸切車のもののようで、ワンマンバスには存在しない塗装ではないかとい思われます。
サイドとルーフサイド前端のオレンジ色のラインはタンポ仕上げ、フロントとルーフ前端、及びサイドの「江ノ電」・「ENODEN」の文字は添付シールを貼って仕上げるようになっていました。
ボディサイドの「ENODEN」というローマ字表記は珍しいようですが、貸切車では実在していました。


トミカ日本のバスフェア06

●箱根登山鉄道バス

神奈川県小田原市のバス事業者で、主に足柄下郡箱根町周辺でバスを運行しています。
現在は箱根登山バスとして運行されていますが、トミカの発売当時は箱根登山鉄道のバス部門だったようです。
トミカは1980年頃までのカラーリングの再現で、サイドの青い部分はライン・文字ともタンポ仕上げとなっています。フロントとルーフ前端、サイドの赤ラインは添付シールを貼って仕上げるようになっていました。
実車の青い部分は水色に近い色だったようで、実車とは少しイメージが異なるものになってしまっています。


トミカ日本のバスフェア07

●静岡鉄道バス

静岡鉄道バスは静岡鉄道のバス部門としてで静岡県内でのバス事業を展開していましたが、2002年にバス部門を分社化して「しずてつジャストライン」となっています。
ト ミカは1960年代から使われていた銀色ボディに青い帯が入ったデザインをオールタンポで再現しています。1980年頃に新塗装が登場しましたが、この銀 /青ラインの車両は90年代まで活躍していたようです。また2015年には静鉄グループ創立100周年記念で復刻塗装車両としてこの塗装が登場していま す。


品 番 車 名事業者
79-2-9三菱 ふそう ワンマンバス北海道中央バス
79-2-10宮城交通
79-2-11京浜急行バス
79-2-12江ノ電バス
79-2-13箱根登山鉄道バス
79-2-14静岡鉄道バス

当時のフェアは特別なカラーリングのトミカが通常品と同じ値段で手に入るという魅力的なものでした。しかし、一度に沢山のトミカが発売されるので、子供のお小遣いではなかなか厳しいものが有ったと想像出来ます。
しかも数量限定なので、どれを買おうか悩みに悩んだ事でしょう(笑)
そういう事では現在のトミカ博のイベントモデルや組み立て工場も同じと言えますが、今は通常品より高いのですからなおさら厳しいという事になりそうですね。

現在のバスの特注品を見慣れた目にはいかににもショボい仕上がりですが、何とも素朴な味わいが良い感じに見えるのは不思議ですね。
ミニカーに限らず精密に出来ている事が必ずしも火との琴線に触れるとは限らないって事なんでしょうね。


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